めぐめぐのブログ4杯目

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原稿用紙1枚感想「サイダーのように言葉が湧き上がる」

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元々2020年の5月公開がここまで遅れた数ある劇場アニメの中では群を抜く公開延期アニメです。フライングドッグの10周年作品でもあります。

結論から申しますと「超良かった」の一言につきます。

世界が崩壊するでもなく、全人類の命運を背負うでもなく、異世界に行くでもなく、企業に脅されるでもない、本当にただのボーイツミーガールな作品。

昨今の仰々しい世界設定を一切廃して現代ティーンズの甘酸っぱい恋愛の描写をこれでもかと言うぐらい事細やかに描いたのは逆に新鮮であり普遍的なテーマだからこそ今後色褪せず見られる作品に仕上がっていると思いました。

作中にキャラクターは出てきますがあくまで主人公二人と一人のお爺さんのみに焦点を絞り他は舞台装置としての扱いに徹底したことは人によっては首をかしげるかも知れませんが私は焦点の単純化として肯定的です。

今回建築物や公共物にタキング(落書き)をすることで、可能な限り説明ゼリフを廃して物語の切り替わりや心情を表現しています。

倫理上問題のある行為として苦言を呈している人も見かけるぐらいには賛否両論な設定でだめな人は駄目なのでしょう。それ以外にも物語をスムーズに進めるための都合の良い展開がいくつか見られある意味二人のための優しい世界にはなっています。

ただ、このアニメはそんなアニメやドラマにありがちな都合の良い舞台装置に対してグチグチ言うのはもったいないくらい二人のSNSや俳句を介してのやり取りが微笑ましく、その1点を素直に楽しめるかどうかに掛かってくるのかなと思います。

物語の中盤で男の子がSNSに投稿した俳句で遠回しに女の子が気にしているチャームポイントも可愛くて好きと告白するシーンがあります。

それをスマホで見た女の子がそれをじっと眺めながらドキドキしているんだけど急に画面が暗転して気にしている部分が写っている自分を見て自己嫌悪に陥る場面一つとっても恋愛がらみはともかく見に覚えのあるちょっとした日常ではあるかとおもいます。

そんな「あぁあるある」みたいな日常のやり取りや新海誠ばりのポップなカット割りでどんどん二人が近づいている事がわかるシーンなどとにかく自分でも気持ち悪いぐらいニヤニヤしっぱなしでした。いいよね、ニヤニヤしっぱなしになれる作品。暗いところだから許される

この後どうなったかは想像におまかせします、と視聴者に投げる終わり方も青春の夏の一コマを切り取って見せた映画としては完璧だと思いました。

あと、主演の二人は俳優ですが事務所ゴリ押しとかではなくきちんとイメージにあった人選と思える自然な演技だったと思います。そういうのに慣れてしまっている感は否めませんが。

 

おまけ

プロデューサーが秋田出身の方で舞台は高崎なんですが思いは秋田ですと熱く語ったメッセージが飾られていました。イオンモールなんで全国のイオンモールが舞台じゃないかと思いますがw

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