めぐめぐのブログ4杯目

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原稿用紙1枚感想「騙し絵の牙」

吉田大八監督が同名のベストセラー小説を映画用に再編・・・したらしいですよ。原作を読んでいないので受け売りです。

話の大枠は市場の変化に追いつけず斜陽を迎えている出版社を舞台にした権力ゲーム。と思って観に行って実際大枠はそうなのですが見終わっての感想は一つの未発表作品と出会った編集者が振り回されつつも変わろうともがいている姿を描いた作品のほうが個人的にはしっくり来ました。

そう思えたのは物語のエピローグからプロローグまでその作品とその作品に深く関係する人物が物語のターニングポイントで関わっているからでしょうね。あのギミックだけで骨のある作品だなと思わせます。

それと並走する形でもう一つ骨子になっている作家が出てきて、こちらも物語を盛り上げるための要素になっていますが前述よりは大人しめです。

ただ感心させられたのはそれぞれの作品(作家)を探しだした編集者がそれぞれの着地点として収まっている点です。

物語のセオリーとして他人の功績を横取りする形を取ったものは最後に罰を受けるのですがその真逆の構図として己で手にしたものに対しては今後どうなるかは別として未来を照らす希望になっている点ですね。

見ている間は色々なエピソードが入って飽きさせない構図ですが見終わった後は分かりやすい法則に則った整理のついた一本になっていました。久々に映画館で見た邦画で良かったと思えるものに出会えた気分です。

今回この作品を見るにあたってアフターシックスジャンクションの「カルチャートーク:映画『騙し絵の牙』について by 吉田大八 監‪督‬」を聴いてからの観劇でした

 色々お話されていましたが音楽面の話が興味深くて如何に監督本人の思惑を超えたチューニングがされているかが話されています。実際に心地よいものでしたし良い相乗効果だなぁと感じています。

なにげに吉田大八作品は未見で有名な「桐島、部活やめるってよ」すら見ていませんでしたがこれを期に見てみようかなと思います。